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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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5.32 Reporting Services の新規サーバーへの移行

Reporting Services を移行する手順は、ケース2 の場合とほとんど同じで、次のように行います(移行元は、SQL Server 2005/2008/2008 R2/2012 で共通で、SQL Server 2005 の Reporting Services でも SQL Server 2014 へ移行することができます)。

1.移行元で、ReportServer ReportServerTempDB データベースをオンライン バックアップする(クエリ エディターから BACKUP DATABASE ステートメントを実行)

2.移行元で、暗号化キーをバックアップする(Reporting Services 構成マネージャーから実行)

3.移行先で、Reporting Services をインストールするときに、「インストールと構成」ではなく、「インストールのみ」を選択する

4.移行先で、データベースを復元する(RESTORE DATABASE)

5.移行先で、暗号化キーを復元する

6.移行先で、Reporting Services を構成する(Reporting Services 構成マネージャーを利用)

7.移行先で、電子メールの設定を行う(移行元で設定している場合)

◆ 1. ReportServer、ReportServerTempDB データベースのバックアップ

まずは、移行元で、Reporting Services の実体(レポート本体や、レポートに関する各種の設定)となる、SQL Server 上の ReportServer および ReportServerTempDB データベースをオンライン バックアップします。次のように、Management Studio のクエリ エディターで、BACKUP DATABASE ステートメントを実行します(ファイル名やバックアップ先のパスは皆さんの環境に合わせて変更してください)。

BACKUP DATABASE ReportServer
 TO DISK 'C:\backup\ReportServer_full.bak'
BACKUP DATABASE ReportServerTempDB
 TO DISK 'C:\backup\ReportServerTempDB_full.bak'
00538

◆ 2. 移行元で暗号化キーをバックアップする

次に、移行元で、暗号化キーをバックアップします。暗号化キーのバックアップは、「Reporting Services 構成マネージャー」ツールを利用して、次のように[暗号化キー]ページから行います(画面は、SQL Server 2005 ですが、他のバージョンでもほとんど同じ操作で行えます)。

00539

このページでは、[バックアップ]をクリックして、[暗号化キーの情報]ダイアログが表示されたら、[パスワード]に任意のパスワードを設定し、[キー ファイル]にバックアップ先のファイル名を指定します(画面は C:\backup フォルダーの下に rs暗号化キー.snk というファイル名を指定)。ここで設定するパスワードは、複雑なパスワード(大文字・小文字と @などの特殊文字を入れたりするなど)を指定する必要があり、これを行っていない場合は、次のように失敗します。

00540

バックアップが成功した場合は、次のように表示されます。

00541

また、設定したパスワードは、新規サーバーで復元する際に必要になるので覚えておいてください。バックアップしたファイル(~.snk)は、新規サーバーからアクセス可能なファイル サーバーや USB HDD など持ち運び可能なメディアに保存します。

◆ 3. 移行先で Reporting Services をインストール。「インストールのみ」を選択

次に、移行先で Reporting Services をインストールします。

00542

インストール時の[Reporting Services の構成]ページでは、次のように「インストールのみ」を選択するようにします。

00543

◆ 4. 移行先で、データベースを復元する

移行先での Reporting Services のインストールが完了したら、次に、ReportServer および ReportServerTempDB データベースをバックアップから復元します。復元には、RESTORE DATABASE ステートメントを次のように実行します(復元先のパスには、SQL Server 2014 の Reporting Services の既定のインスタンスが、既定でインストールされるフォルダーを指定していますが、任意の場所に変更することも可能です)。

RESTORE DATABASE ReportServer
 FROM DISK 'C:\ReportServer_full.bak'
 WITH MOVE 'ReportServer'
        TO 'C:\Program Files\Microsoft SQL Server\MSSQL12.MSSQLSERVER\MSSQL\DATA\ReportServer.mdf'
     ,MOVE 'ReportServer_log'
        TO 'C:\Program Files\Microsoft SQL Server\MSSQL12.MSSQLSERVER\MSSQL\DATA\ReportServer_log.ldf'
RESTORE DATABASE ReportServerTempDB
 FROM DISK 'C:\ReportServerTempDB_full.bak'
 WITH MOVE 'ReportServerTempDB' 
        TO 'C:\Program Files\Microsoft SQL Server\MSSQL12.MSSQLSERVER\MSSQL\DATA\ReportServerTempDB.mdf'
     ,MOVE 'ReportServerTempDB_log' 
        TO 'C:\Program Files\Microsoft SQL Server\MSSQL12.MSSQLSERVER\MSSQL\DATA\ReportServerTempDB_log.ldf'
00544

データベースの復元が完了した後は、Reporting Services 構成マネージャーを利用して、Reporting Servicesに データベースを認識させます。これを行うには、次のように[データベース]ページで、[データベースの変更]をクリックします。

00545

データベースの変更]ウィザードが起動したら、[既存のレポート サーバー データベースを選択する]を選択して、[次へ]ボタンをクリックします。

次のページでは、[サーバー名]に移行先の SQL Server 2014 のサーバー名を選択して、[次へ]ボタンをクリックします。

00546

次のページでは、[レポート サーバー データベース]で「ReportServer」データベースを選択して、[次へ]ボタンをクリックします。

次のページでは、[認証の種類]でレポート サーバーがデータベースへアクセスするときの認証方法を選択して(既定は「サービス資格情報」で、サービス アカウントが接続しに行く設定)、[次へ]ボタンをクリックします。

00547

構成が完了すると、次のように表示されます。

00548

◆ 5. 移行先で、暗号化キーを復元する

次に、暗号化キーをバックアップから復元します。これは、次のように[暗号化キー]ページで[復元]ボタンをクリックします。。

00549

暗号化キーの復元]ダイアログでは、[パスワード]にバックアップ時に指定したパスワードを入力して、[キー ファイル]にバックアップした暗号化キー(.snk)を指定します。

復元に成功すると、次のように表示されます。

00550

◆ 6. 移行先で、Reporting Services を構成する

暗号化キーの復元が完了したら、次は Reporting Services を構成します。引き続き Reporting Services 構成マネージャーを利用して、次のように[Web サービス URL]ページを開きます。

00551

このページでは[適用]ボタンをクリックします。これでレポート サーバーhttp://~/ReportServer)が構成されます。構成が成功した場合には、次のように表示されます。

00552

次に、[レポート マネージャー URL]ページを開いて、[適用]ボタンをクリックします。

00553

これでレポート マネージャーhttp://~/Reports)が構成されます。

◆ 7. 電子メールの設定

Reporting Services の電子メールの設定に関しては、手動で再設定をする必要があります。

00554

以上で、作業が完了です。これで移行元と同じようにレポートを参照できるようになります。

00555

ただし、レポート内のデータソースや、共有データソースに、移行元のマシン名が埋め込まれている場合には、そこを移行先のマシン名に修正する必要があります(マシン名ではなく、localhost などを指定している場合は修正は不要です)。

構成後は、レポートを参照できるだけでなく、レポートのプロパティで設定したセキュリティ(ロール)や、キャッシュ設定サブスクリプションについても移行元と同じように利用できます。サブスクリプションに関しては、次のように SQL Server Agent のジョブも自動作成されています(Reporting Services を構成すると、ジョブも自動作成されます)。

00556

◆ Windows のローカル ユーザーを利用している場合の注意点

移行後の注意点としては、レポートのセキュリティ設定Windows のローカル ユーザーを利用している場合です。これは、次のような状況です。

00557

Windows のローカル ユーザーの場合は、マシン(OS)が変わったとすると、同じ名前のユーザーを作成したとしても、内部的な SIDSecurity ID)が異なってしまうので、Reporting Services にとっては、認識できないユーザーとなってしまいます。このため、新規サーバーでは、Windows のローカル ユーザーが全く表示されない形になります。

これを回避する方法はないので、Windows のローカル ユーザーを利用している場合は、再設定をする必要があります。

Active Directory ドメインのユーザーに関しては、移行元と移行先が同じドメインに参加している場合には、問題なくセキュリティ設定が引き継がれますが、移行先が異なるドメインや、ワークグループ環境の場合には、ドメイン ユーザーに関しても、認識できないユーザーとなって、表示されない形になります。この場合も再設定が必要になります。

以上のように、Reporting Services の移行は、非常に簡単です。SQL Server 2005 からも移行できるのはうれしいところです。なお、SQL Server 2005 では、Reporting Services の動作に IIS と ASP.NET が必須でしたが、SQL Server 2008 からは IIS が必要としないアーキテクチャに変わっているので、SQL Server 2014 でも IIS が不要になります。SQL Server 2005 から移行したからといって IIS が必要になるわけではないので安心してください。

◆ Reporting Services の移行に関するその他の情報

その他の Reporting Services の移行に関する情報は、オンライン ブックの以下のトピックが参考になると思います。

Reporting Services の旧バージョンとの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143251.aspx

00558

SQL Server 2014 で廃止された SQL Server Reporting Services の機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms144231.aspx

SQL Server 2014 における SQL Server Reporting Services の非推奨機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143509.aspx

SQL Server 2014 における SQL Server Reporting Services の重大な変更
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143380.aspx

SQL Server 2014 における SQL Server Reporting Services の動作変更
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143200.aspx

Reporting Services のアップグレード
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms143747.aspx

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