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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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5.31 移行にかかる時間(ダウンタイム)の見積もり

移行にかかる時間(移行時のダウンタイム)は、次のように考えることができます。

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この手順の中で、移行時間を大きく左右するのは、データベースの移行にかかる時間です。これは、データベース サイズが大きい場合には、非常に時間がかかることになります。また、ストレージの性能(読み取りおよび書き込み速度)とネットワーク速度にも大きな影響を受けます。

◆ データベースの移行にかかる時間の見積もり

データベースの移行にかかる時間は、次のとおりです。

データベースの移行にかかる時間 = バックアップ(BACKUP ステートメントの実行)にかかる時間 (+ バックアップ ファイルを圧縮するのにかかる時間。SQL Server 2005 の場合) + バックアップ ファイルをコピーするのにかかる時間 + バックアップ ファイルの復元(RESTORE ステートメントの実行)にかかる時間

第4章の 4.11 で説明したように、バックアップ ファイルを圧縮するかどうかは、低速回線かどうかにもよりますが、低速回線の場合は、圧縮したほうが速くコピーが完了できる場合が多くなります。SQL Server 2008 以降であれば、バックアップ圧縮機能を利用して、(バックアップ時に)バックアップ ファイルを圧縮することができます。

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バックアップ圧縮機能は、SQL Server 2008 Enterprise または SQL Server 2008 R2 Standard エディション以上であれば利用することもできます(SQL Server 2008 のときは Enterprise エディションが必要でしたが、SQL Server 2008 R2 以降では Standard エディションでも利用できるようになりました)。バックアップ圧縮は、次のように WITH COMPRESSION キーワードを付けるだけで実行できます。

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このように、バックアップ圧縮を利用すると、バックアップ時間を短縮できる可能性があるだけでなく、ファイル サイズを小さくできることによって、ファイルをコピーする時間の短縮も実現することができます。これは移行時のダウンタイムを小さくするという意味で、非常に重要です。

BACKUP ステートメントでは、次のように UNC(共有フォルダー)を指定して、ネットワーク上のサーバーへ直接バックアップすることも可能です。

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これを利用すれば、バックアップをしつつ、ネットワーク コピーも行ってしまうということができます。LAN 環境などのネットワークが安定している場合には、お勧めのバックアップ方法です。一方、WAN 環境などのネットワークが安定していない場合には、万が一ネットワークが切れてしまった場合にバックアップをイチからやり直さなければならなくなるので、お勧めではありません。

オンライン バックアップからの復元時(RESTORE DATABASE ステートメント)も、次のように UNC を指定して実行することができます。

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このように UNC を直接利用することでも、実行時間を短くできる場合があるので、検討してみることをお勧めします(ネットワークを介す場合は圧縮も重要になります)。

データベースの移行は、移行時のダウンタイムでの大きな時間を占めることになるので、事前に入念なテストを行って、しっかりと実行時間を見積もっておくことが重要になります。

なお、バックアップ(BACKUP ステートメント)に関しては、日々の定期バックアップにかかる時間を測定している場合は、そこからバックアップにかかる時間を見積もることができます。また、完全バックアップとログ バックアップを定期的に取得している環境の場合は、データベースの複製時には、最後のログ バックアップ以降の(未取得の)ログ バックアップのみを取得するだけで、最新の状態へ複製していくことができます。

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