SQL Server のことなら SQL Quality SQL Server パフォーマンス チューニング、コンサルティング、アドバイス、相談、定期診断、トレーニング

ホーム > 技術情報 > SQL Server 実践「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

Microsoft SQL Server 2016 実践シリーズ (HTML 版)
「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2016 実践シリーズの「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。なお、記載している内容は、2016年 12月時点での情報になります。[2018年12月29日]

目次へ | 前のページへ | 次のページへ

3.24 SQL Server 2008 からの新機能のアップグレード

SQL Server 2008 から提供された主な新機能には、次のものがあります。

  • SQL Server Audit(SQL Server 監査)
  • 透過的なデータ暗号化(TDE:Transparent Data Encryption)
  • ポリシー ベースの管理
  • CDC(変更データ キャプチャ)
  • リソース ガバナー
  • パフォーマンス データ コレクション

これらは、パフォーマンス データ コレクションを除いて、SQL Server 2016 へアップグレード インストールを行っても、そのまま動作させることができます。SQL Server Audit の監査設定も、透過的なデータ暗号化も、ポリシー ベースの管理で設定したポリシーも、CDC も、リソース ガバナーで作成したリソース プールも、そのまま動作させることができます。

◆ パフォーマンス データ コレクションの修正

SQL Server 2008 および 2008 R2 でパフォーマンス データ コレクションを設定済みで、SQL Server 2016 へアップグレードした場合には、パフォーマンス データ コレクション(サーバーの利用状況やクエリ統計、ディスク使用量などのシステム データ コレクション)でエラーとなってしまいます。これは次のような状況です(SQL Server 2012/2014 の場合は発生しません)。

00202

このエラーの原因は、次のようにプロパティを開こうとすることで確認できます。

00203

同じキーのエントリが既に存在します」というエラーが表示されて、これはデータ コレクションが格納されている msdb データベース内の「syscollector_collection_items_internal」テーブルに重複値があるというエラーになります。

00204

このように、同じキー(collector_type_uid)の日本語のデータ コレクションが重複して格納されてしまっていることが原因なので、次のように DELETE ステートメントを実行して、重複しているデータを削除します。

USE msdb
DELETE FROM [syscollector_collection_items_internal]
 WHERE name IN('ディスク使用量 データ ファイル'
               ,'ディスク使用量 ログ ファイル'
               ,'サーバー利用状況 DMV スナップショット'
               ,'サーバー利用状況 パフォーマンス カウンター)

00205

このように、重複データを削除することで、プロパティが開けるようになります。

00206

削除後も、まだエラーは出るので、次に、パフォーマンス データ コレクションのクリーンアップを行って、さらに再構成をします。

クリーンアップを行うには、次のように[データ コレクション]を右クリックして、[タスク]メニューの[データ コレクターのクリーンアップ]をクリックします。

00207

00208

これで、クリーンアップが完了です。

クリーンアップが完了したら、次は、パフォーマンス データ コレクションを再構成します。再構成は、新規作成時と同様、[データ コレクション]を右クリックして、[タスク]メニューの[管理データ ウェアハウスの構成]をクリックします。

00209

00210

データベース]では、アップグレード前に利用していた既存の管理データ ウェアハウスを選択する以外は、新規作成時と同様です。

管理データ ウェアハウスの構成が完了したら、次は[データ コレクション]を右クリックして、[タスク]メニューの[データ コレクションの構成]をクリックして、システム データ コレクションを構成します。

00211

00212

キャッシュ ディレクトリ]でキャッシュ フォルダーを指定して(フォルダーがない場合は新規作成します)、[名前]で「システム データ コレクション セット」をチェックします。

以上で、パフォーマンス データ コレクションの再構成が完了です。これでエラーが消えて、アップグレード前と同じように、パフォーマンス データ コレクションを動作させることができます。

00213

もし、これでもエラーが消えない場合は、Integration Services がインストールされているかどうかを確認してみてください(SQL Server 2008 では、パフォーマンス データ コレクションを動作させるために Integration Services は必須ではなかったのですが、SQL Server 2016 では必須になっています)。

エラーが消えた後は、レポートに関しても、以前と同様に参照できるようになります。

00214

なお、SQL Server 2016 の CU4 以前のバージョンでは、データ コレクションのパフォーマンス カウンターが正しく表示されないという不具合があります(サーバーの利用状況の履歴レポートが以下のように表示されます)。

00215

これについては、CU4 を適用することで修正されているので、パフォーマンス データ コレクションを利用する場合には、CU4 を適用することをお勧めします。これについては、以下の KB が参考になります。

FIX: "No Data Available" in the SQL Server Memory Usage page in the SQL Server 2014 or 2016 MDM report
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/3209442/fix-no-data-available-in-the-sql-server-memory-usage-page-in-the-sql-s

目次へ | 前のページへ | 次のページへ

事例1

SQLQualityは執筆とセミナーを通じて技術の啓蒙やエンジニアの育成支援も行っています
最新刊
SQL Server 2016 の教科書
SQL Server 2016 の教科書(ソシム)

弊社オリジナル制作の
SQL Server 2016 自習書も
マイクロソフトのサイトで公開中!
ダウンロードはこちら
セミナー風景
セミナー風景

ロングセラー
ASP.NET でいってみよう  SQL Server 2000 でいってみよう
ASP.NET でいってみよう
第7刷 16,500 部発行
SQL Server 2000 でいってみよう
第12刷 28,500 部発行
SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要
SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要(Amazon Kindle 書籍)

弊社執筆の
SQL Server 2014 自習書
マイクロソフトのサイトで公開中
目次はこちら

弊社執筆の
SQL Server 2012 自習書
マイクロソフトのサイトで公開中
ダウンロードはこちら
松本美穂のコラム
(公開活動などのお知らせ)

第60回:SQL Server 2017 自習書 No.3「SQL Server 2017 Machine Learning Services」のご案内
第59回:SQL Server 2017 自習書 No.2「SQL Server 2017 on Linux」のご案内
第58回:SQL Server 2017 自習書 No.1「SQL Server 2017 新機能の概要」のご案内
第57回:SQL Server 2017 RC 版とこれまでのドキュメントのまとめ
第56回:「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」完成&公開!
第55回:書籍「SQL Server 2016の教科書 開発編」(ソシム)が発刊されました
第54回:「SQL Server 2016 プレビュー版 Reporting Services の新機能」自習書のお知らせ
第 53 回:SQL Server 2016 Reporting Services の新しくなったレポート マネージャーとモバイル レポート機能
第 52 回:SQL Server 2016 の自習書を作成しました!
第 51 回:PASS Summit と MVP Summit で進化を確信!
第 50 回:新しくなった Power BI(2.0)の自習書を作成しました!
第49 回:Excel 2016 の Power Query を使う
第 48 回:新しくなった Microsoft Power BI ! 無料版がある!!
第 47 回:「Microsoft Azure SQL Database 入門」 完成&公開!
第 46 回:Microsoft Power BI for Windows app からの Power BI サイト アクセス
第 45 回:Power Query で取得したデータを PowerPivot へ読み込む方法と PowerPivot for Excel 自習書のご紹介
第44回:「SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」ドキュメントを作成しました
第43回:SQL Server 2014 インメモリ OLTP 機能の上級者向けドキュメントを作成しました
第42回:Power Query プレビュー版 と Power BI for Office 365 へのクエリ保存(共有クエリ)
第41回:「SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要」自習書のお知らせです
第40回: SQL Server 2012 自習書(HTML版)を掲載しました
第39回: Power BI for Office 365 プレビュー版は試されましたか?
第38回: SQL Server 2014 CTP2 の公開
第37回: SQL Server 2014 CTP1 の自習書をご覧ください
第36回: SQL Server 2014 CTP1 のクラスター化列ストア インデックスを試す
第35回: SQL Server 2014 CTP1 のインメモリ OLTP の基本操作を試す
第34回: GeoFlow for Excel 2013 のプレビュー版を試す
第33回: iPad と iPhone からの SQL Server 2012 Reporting Servicesのレポート閲覧
第32回: PASS Summit 2012 参加レポート
第31回: SQL Server 2012 Reporting Services 自習書のお知らせ
第30回: SQL Server 2012(RTM 版)の新機能 自習書をご覧ください
第29回: 書籍「SQL Server 2012の教科書 開発編」のお知らせ
第26回: SQL Server 2012 の Power View 機能のご紹介
第25回: SQL Server 2012 の Data Quality Services
第24回: SQL Server 2012 自習書のご案内と初セミナー報告
第23回: Denali CTP1 が公開されました
第22回 チューニングに王道あらず
第21回 Microsoft TechEd 2010 終了しました
第20回 Microsoft TechEd Japan 2010 今年も登壇します
第19回 SQL Server 2008 R2 RTM の 日本語版が公開されました
第18回 「SQL Azure 入門」自習書のご案内
第17回 SQL Server 2008 自習書の追加ドキュメントのお知らせ
第16回 SQL Server 2008 R2 自習書とプレビュー セミナーのお知らせ
第15回 SQL Server 2008 R2 Reporting Services と新刊のお知らせ
第14回 TechEd 2009 のご報告と SQL Server 2008 R2 について
第13回 SQL Server 2008 R2 の CTP 版が公開されました
第12回 MVP Summit 2009 in Seattle へ参加

技術コミュニティでも活動中