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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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4.1 ELEVATE_TO_SNAPSHOT で自動的にスナップショット分離へ

インメモリ OLTP では、トランザクション内では、スナップショット分離レベルでステートメントを実行するのが基本になります。

例えば、トランザクション内で、次のように SELECT ステートメントを実行したとします。

BEGIN TRAN
  SELECT FROM t1_InMem WHERE col1 1
00204

結果は、エラーになり、「WITH (SNAPSHOT) などのテーブル ヒントを使用して、メモリ最適化テーブルのサポートされている分離レベルを指定してください。」と返されます。

このエラーは、次のように UPDATE ステートメントを実行したとしても発生します。

BEGIN TRAN
  UPDATE t1_InMem SET col2 '1111' WHERE col1 1
00205

インメモリ OLTP では、従来ながらのディスク ベースのテーブルの既定値である「READ COMMITTED」がサポートされていないので、このエラーが発生しています。

◆ インメモリ OLTP でサポートされている分離レベル

インメモリ OLTP(メモリ最適化テーブル)でサポートされている分離レベルは、次の3つです。

  • SNAPSHOT
  • REPEATABLE READ
  • SERIALIZABLE

READ COMMITTED」(既定値)がサポートされておらず、「READ UNCOMMITTED」(NOLOCK ヒント)や、UPDLOCK(更新ロック)もサポートされていません(これについては、次の項で説明します)。

◆ WITH (SNAPSHOT) でスナップショット分離レベルを指定

インメモリ OLTP で、スナップショット分離レベルを指定するには、次のようにテーブル名の隣に「WITH(SNAPSHOT)」を付与します。

BEGIN TRAN
SELECT FROM t1_InMem WITH(SNAPSHOT)
 WHERE col1 1
00206

このように、スナップショット分離レベルを指定すれば、トランザクション内でステートメントを実行できるようになります。

UPDATE ステートメントでも同様、ステートメントの隣に WITH(SNAPSHOT) を付与することで、実行できるようになります。

BEGIN TRAN
  UPDATE t1_InMem WITH(SNAPSHOTSET col2 '1111' WHERE col1 1
00207

ネイティブ コンパイル SP の場合は、次のように BEGIN ATOMIC WITH 句で「TRANSACTION ISOLATION LEVEL = SNAPSHOT」を記述することで、スナップショット分離レベルを指定することできます。

CREATE PROC ストアドプロシージャ名
パラメーター定義
WITH
   NATIVE_COMPILATIONEXECUTE AS OWNERSCHEMABINDING
AS
BEGIN ATOMIC
 WITH TRANSACTION ISOLATION LEVEL SNAPSHOT,
        LANGUAGE N'japanese')
     -- 実行するステートメント
END

ネイティブ コンパイル SP では、BEGIN .. ATOMIC で囲んだものが 1トランザクションとして扱われます。

◆ ELEVATE_TO_SNAPSHOT を有効化

データベースに対して、MEMORY_OPTIMIZED_ELEVATE_TO_SNAPSHOT ON へ設定すると、ステートメントの分離レベルを自動的にスナップショット分離レベルへ昇格(ELEVATE)させることができます。これは次のように設定できます。

USE データベース名
ALTER DATABASE CURRENT
 SET MEMORY_OPTIMIZED_ELEVATE_TO_SNAPSHOT ON

このように、ELEVATE_TO_SNAPSHOT を有効化しておくと、トランザクション内の各ステートメントに WITH(SNAPSHOT) を付けなくても、スナップショット分離レベルで実行できるようになります。前述のエラーになった記述も、次のように実行できます。

00208

このように、ELEVATE_TO_SNAPSHOT を有効化しておくと、各ステートメントに WITH(SNAPSHOT) を付けなくて済むようになるので、アプリケーションの修正をしなくても済むようになります。これは、移行の際に多いに役立ちます。

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