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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.1 インメモリ OLTP 機能の実践的な利用方法」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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1.9 SBIリクイディティ・マーケット株式会社での利用例

日本における FX 取引で有名な「SBIリクイディティ・マーケット株式会社」では、インメモリ OLTP 機能を利用することで約 2.5倍の性能向上を実現しています(1秒あたりの処理件数が 52,080件から 131,921件へ向上)。

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また、同社では、SQL Server 2014 への移行に伴って、アプリケーションのアーキテクチャ変更も実施し、これによって、元々のシステムと比較すると約 30倍もの処理パフォーマンスの向上を実現しています。

SBIリクイディティ・マーケット株式会社での早期導入の詳細については、以下の日本マイクロソフトの事例サイトに記載されています。

SBIリクイディティ・マーケット株式会社の事例
http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/sbilm2.aspx

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この記事の中で、同社の代表取締役社長 重光 達雄 氏は、次のように語っています。

「今や FX の取引高は、日本が世界のトップに立っています。当社はその業界のトップ ランナーとしての責務を果たすべく、日本マイクロソフトの協力の下、SQL Server を中心とした取引システムのパフォーマンスや可用性、信頼性の向上に大きな力を注いできました。ちなみに当社の取引金額は、2013 年 1 ~ 12 月の 1 年間で約 610 兆円に達しています。日本の 2013 年度一般会計予算、約 92.6 兆円約 6.6 倍、東証一部上場企業の 2013 年度の株式売買代金、約 640 兆円 (出典:株式会社東京証券取引所) と、ほぼ同等な取引金額を扱うシステムと言えば、規模の大きさやミッション クリティカルの度合いを感じていただけるでしょうか」

「今後、FX 取引は、アジア圏でも大きく伸びることが確実と予想されています。そうなれば、取引量も今の何倍何十倍にも膨らんでいくでしょう。当社でもその市場規模に応え得る強力なパフォーマンスや取引精度を提供できる、より速く可用性に優れた取引システムを早急に実現しなくてはなりません。その意味で SQL Server 2014 のインメモリ OLTP 機能は大きな可能性を秘めており、しかもこれまで築き上げてきた環境を生かしながらシステムの能力を強化できると確信したのが、TAP 参加に踏み切った理由でした」(ここまで事例記事より引用)

なお、「TAP」は、マイクロソフトが展開している ”早期検証プロジェクト” で、製品完成前のプレビュー版の段階から検証を行うプログラムです。SBIリクイディティ・マーケット株式会社では、2012年 8月に日本マイクロソフトから TAP への参加オファーを受けて、各種の検証を実施、本番稼働とほぼ同等の環境を構築して入念な検証を重ね、インメモリ OLTP を中心として、さまざまなパフォーマンス チューニングを実施しました。

◆ システム構成 ~売買集計システムでインメモリ OLTP を採用~

SBIリクイディティ・マーケット株式会社では、「カバー取引」と呼ばれる処理のためのシステムである「売買集計システム」(顧客の取引履歴のリアルタイム集計)に、インメモリ OLTP 機能を採用しています。このシステムの構成は、次のとおりです。

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この売買集計システムには、顧客の行った FX 取引の情報(取引履歴)が絶えず送られ、それを即時に集計し、その集計結果をもとにカバー取引を行っています。これは、同社の収支に直結する非常に重要な処理になりますが、従来のシステムでは、トランザクションが集中する時間帯に集計処理に時間がかかってしまう、Latency(遅延)が発生してしまうという問題がありました。

また、トランザクション数は日々増えており、将来的な、加速度的なトランザクションの増大にも対応していく必要がありました。前項の社長のコメントのように、現在、FX の取引高は、日本が世界のトップ、アジア圏でも大きく伸びることが確実と予想され、取引量は、現在の何倍、何十倍にもなることが予想されています。

◆ 更新系処理でのロック/ラッチ待ちを解消するためにインメモリ OLTP を採用

売買集計システムでは、リアルタイムでの集計を行うために、集計のための元データ(顧客の取引履歴)を、売買集計システムへ INSERT する処理や、集計結果を UPDATE する処理など、更新系の処理でも高い処理能力が要求されます。しかし、従来のシステムでは同時更新が発生した場合の「ロック待ち」や「ラッチ待ち」が問題となっていました。

これらの問題を解決するために採用したのが、インメモリ OLTP 機能です。インメモリ OLTP 機能は、ロック フリー/ラッチ フリーのアーキテクチャなので、ロック待ちやラッチ待ちに悩まされることがなくなります。

インメモリ OLTP 機能を利用することによって、冒頭の約 2.5倍の性能向上を実現することができました(グラフを以下に再掲)。

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このグラフは、カバー取引のためのリアルタイム集計(顧客の取引履歴の集計)での性能向上の結果で、処理内容の具体的な内訳(実際に実行している SQL ステートメントの内訳)は、次のとおりです。

  • INSERT*1
  • UPDATE*1
  • SELECT*1
  • UPDATE または INSERT*1

これらの 1秒あたりの処理件数は、従来のシステムでは 52,080件だったところを、インメモリ OLTP を採用することによって、131,921件もの処理ができるように性能向上しています。

また、従来のシステムでは、トランザクションが集中する時間帯での Latency(遅延)に問題がありましたが(約 4秒の遅延が発生)、インメモリ OLTP を採用することによって、1秒未満に抑えられるようになりました。

データの永続化に関しては、前項の bwin 社では、SCHEMA_ONLY オプションを利用して、データを永続化していませんでしたが、SBIリクイディティ・マーケット株式会社では、扱っているデータが非常にクリティカルなので、SCHEMA_AND_DATA オプションを利用して、データを永続化しています。このオプションでは、ログへの書き込みが発生しますが、電源断などがあっても、SQL Server が再起動されても、コミット済みのデータが失われることがありません。

また、同社では、インメモリ OLTP と AlwaysOn 可用性グループと組み合わせて利用して、データの保護(データベースの複製/二重化)も行って、可用性を大きく高めています。なお、インメモリ OLTP と AlwaysOn 可用性グループを組み合わせるためには、SCHEMA_AND_DATA オプションを利用するのが必須になります。

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事例1

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