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Microsoft SQL Server 2016 実践シリーズ (HTML 版)
「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2016 実践シリーズの「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。なお、記載している内容は、2016年 12月時点での情報になります。[2018年12月29日]

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5.19 構成オプション(sp_configure)の移行

構成オプションは、次のようにサーバーのプロパティsp_configure ストアド プロシージャで設定したサーバーのオプション(最大メモリや接続オプションの設定など)です。

00455

現在の構成オプションは、次のように sp_configure システム ストアド プロシージャでまとめて確認することができます。

EXEC sp_configure 'show advanced options', 1
RECONFIGURE
EXEC sp_configure
00456

show advanced options 1 へ設定してすべてのオプションを表示するようにして、その後「sp_configure」を実行することで、現在の値(run_value)を確認することができます。

これらの構成オプションも master データベース(システム データベース)内に格納されているので、設定を変更している場合には別途移行を行う必要があります。

◆ 既定値から変更のあった構成オプションのみを表示

構成オプションは、既定値(インストール直後の値)から変更のあったもののみを簡単に確認することができます。これは、次のように Management Studio でサーバー名を右クリックして、[レポート]の[標準レポート]から「サーバー ダッシュボード」をクリックします。

00457

このように、サーバー ダッシュボードを利用すれば、どのオプションが変更されたのかが一目瞭然になるので、大変便利です。

なお、このレポートは、SQL Server 2005 の SP2 以降で利用できる機能なので、SQL Server 2005 の SP1 以前を利用している場合は、SQL Server 2016 の Management Studio を利用して、SQL Server 2005 にリモート接続してレポートを開いてみてください。

◆ 構成オプションのスクリプト化

構成オプションに関しては、Management Studio の GUI 操作ではスクリプト生成をすることができないので、次のように「sp_configure」の結果を一時テーブルに保存して、これをカーソルでループ処理することで、スクリプト生成をすることもできます。

-- show advanced options 設定
EXEC sp_configure 'show advanced options', 1
RECONFIGURE
-- sp_configure 結果一時テーブル保存
CREATE TABLE #temp1
name sysname
 ,minimum int
 ,maximum int
 ,config_value int
 ,run_value int )
INSERT INTO #temp1 EXEC sp_configure
-- 一時テーブル内 run_value カーソルループ
DECLARE @name sysname@run_value int
DECLARE cur1 CURSOR FOR
                SELECT name, run_value FROM #temp1
OPEN cur1
 FETCH NEXT FROM cur1 INTO @name@run_value
WHILE (@@FETCH_STATUS <> -1)
BEGIN
  -- 現在構成値run_valueもとスクリプト化
  PRINT 'EXEC sp_configure ''' @name '''CONVERT(varchar@run_value''
  FETCH NEXT FROM cur1 INTO @name@run_value
END
CLOSE cur1
DEALLOCATE cur1
DROP TABLE #temp1
00458

このように、ストアド プロシージャの結果と同じ列数のテーブルを作成して、INSERT .. EXEC を実行することで、EXEC の結果をテーブルに保存することができます。このテーブルを利用して、カーソル ループを行えば、現在の設定値(run_value)をもとに sp_configure をスクリプト化することができます。

あとは、生成されたスクリプトを移行先(SQL Server 2016 上)で実行すれば、構成オプションを移行することができますが、前掲のダッシュボード レポートを利用して、変更があったオプションのみを、移行先で実行するようにします。

移行先で実行後は、次のように RECONFIGURE WITH OVERRIDE を実行して、構成を反映させるようにします。

-- 移行先実行
EXEC sp_configure 'show advanced options', 1
RECONFIGURE
-- 変更あった構成オプション実行
EXEC sp_configure 'Ad Hoc Distributed Queries', 1
EXEC sp_configure 'affinity I/mask', 0
         中略
EXEC sp_configure 'xp_cmdshell', 1
-- 最後 RECONFIGURE 実行する
RECONFIGURE WITH OVERRIDE

構成オプションによっては、SQL Server サービスの再起動が必要なものがありますが、再起動が必要かどうかは、オンライン ブックの以下のトピックに記載されています。

サーバー構成オプション
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms189631.aspx

00459

RR と表記されるものが再起動が必要なオプションで、これらをまとめると、次のようになります。

affinity64 mask、c2 audit mode、common criteria compliance enabled、 fill factor、lightweight pooling、locks、media retention、open objects、 priority boost、remote access、set working set size、user connections

これらの構成オプションを変更している場合には、スクリプト実行後に、SQL Server サービスを再起動する必要があります。

◆ SQL Server 2016 でサポートされなくなった構成オプション

以前の SQL Server と比較して、SQL Server 2016 でサポートされなくなった構成オプションには、次のものがあります。

  • AWE Enabled オプション(SQL Server 2012 以降で未サポート)
  • SQL Mail XPs(SQL Server 2012 以降で未サポート)
  • Web Assistant Procedures(SQL Server 2008 以降で未サポート)

AWE Enabled(AWE の有効化)と SQL Mail XPs(SQL Mail 機能)は、SQL Server 2012 以降で未サポートになり、Web Assistant 機能は SQL Server 2008 以降で未サポートになっています。

Note: SQL Server 2005 の構成オプションとの比較
SQL Server 2005 の構成オプションの既定値は、次のようになっています。
00460
多くのオプションが「0」に設定されていて、は、動作に関するオプション(Affinity Mask や Max Degree of Parallelism、Locks、Max Worker Threads など)であれば "自動調整"、セキュリティ関連のオプション(Ad Hoc Distributed Queries や clr enabled、Database Mail XPs、xp_cmdshell など)であれば "無効" という意味になります。なお、Agent XPs は、SQL Server Agent サービスを自動起動に設定している場合は 1 に設定されます。

■ SQL Server 2016 との比較
SQL Server 2005 と SQL Server 2016 では、ほとんどの構成オプションの既定値が同じです。違いは、次の 2つのみです。
 ・min server memory (MB) が 16 に変更されている(SQL Server 2005 では 0
   ・remote login timeout (s) が 10 に変更されている(SQL Server 2005 では 20
構成オプションの詳細については、オンライン ブックの以下のトピックが参考になると思います。
サーバー構成オプション
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms189631.aspx

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