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SQL Server 2014 実践シリーズ (HTML 版)
「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2014 実践シリーズの「No.2 SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2015年12月29日]

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3.20 AlwaysOn 可用性グループのローリング アップグレード

AlwaysOn 可用性グループ(SQL Server 2012 からの新機能)に関しても、データベース ミラーリングの場合とほとんど同じ操作でローリング アップグレードを行うことができます。

手順の概要は、次のとおりです。

1. セカンダリを SQL Server 2014 へアップグレード

2. アップグレード完了後にロール変更(ダウンタイムはこの間のみ)

3. 旧プライマリを SQL Server 2014 へアップグレード

4. RESUME を実行

◆ ローリング アップグレードの手順

ローリング アップグレードを行うには、まず、セカンダリSQL Server 2014 へアップグレードします。

アップグレードが完了したら、フェールオーバー(ロール変更)を実行して、セカンダリをプライマリへ変更します。これは、次のように ALTER AVAILABILITY GROUP ステートメントを実行します。

USE master
ALTER AVAILABILITY GROUP 可用性グループ名 FAILOVER
00205

これは、現在のセカンダリ(アップグレード済みのサーバー)側から実行します。これを実行すると、SQL Server 2014 へのアップグレードを行ったセカンダリを新しいプライマリへ変更して、データベースを利用できる状態になります。

00206

したがって、ユーザーから見れば、ダウンタイムは、このフェールオーバーを実行している間(ロール変更が完了するまでの間)だけです。フェールオーバーにかかる時間は、その間に実行されていたトランザクション量にもよりますが、トランザクション量が少なければ数秒で完了します。

非同期モードの場合 ~いったん同期モードへ変更~

可用性グループを非同期モードで構成している場合には、上記のフェールオーバー(ロール変更)を実行しようとするときに、次のようにエラーとなります。

00207

非同期モードでは、ロール変更を行うには、いったん同期モードへ変更する必要があります。これは、次のように ALTER AVAILABILITY GROUP ステートメントを実行することで行えます。

USE master
ALTER AVAILABILITY GROUP 可用性グループ名
 MODIFY REPLICA ON 'プライマリ名'
   WITH (AVAILABILITY_MODE SYNCHRONOUS_COMMIT)
ALTER AVAILABILITY GROUP 可用性グループ名
 MODIFY REPLICA ON 'セカンダリ名'
   WITH (AVAILABILITY_MODE SYNCHRONOUS_COMMIT)
00208

この後、もう一度、ALTER AVAILABILITY GROUP ステートメントを実行すれば、ロール変更することができます。

旧プライマリ(現在のセカンダリ)の SQL Server 2014 へのアップグレード、RESUME

ロール変更が完了したら、次は旧プライマリ(現在のセカンダリ)を SQL Server 2014 へアップグレードします。

アップグレードが完了した後は、データベースの状態が「中断」になっているので、これを「RESUME」(再開)します。RESUME を行うには、次のように「SET PARTNER RESUME」を実行します。

USE master
ALTER DATABASE データベース名SET HADR RESUME
00209

以上で、可用性グループを以前のバージョンで利用していたのと同じように利用できるようになります。

00210

この後、役割を元に戻したい場合にはフェールオーバーを実行し、同期モードを非同期へ変更したい場合には ALTER AVAILABILITY GROUP ステートメントを実行します。

このように、ローリング アップグレードを利用することで、ダウンタイムを非常に小さくすることができます。

可用性グループのアップグレードに関しては、オンライン ブックの以下のトピックも一読しておくことをお勧めします。

ダウンタイムとデータ損失を最小限に抑えた 可用性グループ サーバーのアップグレードおよび更新
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn178483.aspx

00211

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