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Microsoft SQL Server 2016 自習書シリーズ (HTML 版)
「No.4 Analysis Services の新機能」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2016 自習書シリーズの「No.4 Analysis Services の新機能」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。 なお、記載している内容は、2016年 9月時点での情報になります。[2018年12月29日]

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2.7 新しい DAX 関数(50以上)

SQL Server 2016 の Analysis Services では、50以上もの新しい DAX 関数が提供されています。

00182

DATEDIFF(日付の差分)や、CONCATENATEX(文字列連結を行える CONCATENATE の拡張版)、MEDIAN(中央値)など、便利な関数があるので、ここではこれらを試してみましょう。

なお、CALENDAR 関数に関しては、既に前の Step で日付ディメンションを作成するときに試しました。「その他」にある SUMMARIZECOLUMN 関数は、前の Step で試した SUMMARIZE 関数と同じように、列の集計を作成できるものです。これは、次のように利用できます。

=SUMMARIZECOLUMNS('商品区分'[区分名
                 ,"受注金額", '受注明細'[受注金額計])    // 受注金額計 メジャー利用
  または
=SUMMARIZECOLUMNS('商品区分'[区分名
                 ,"受注金額", SUM('受注明細'[受注金額])) // 受注金額  SUM 関数
00183

なお、これらの新しい DAX 関数は、Excel 2016 や Power BI Desktop では既にサポートされているものですが、SQL Server 2016 からは Analysis Services でもサポートされるようになりました。

◆ Let's Try ~DATEDIFF、MEDIAN、CONCATENATEX~

それでは、新しい DAX 関数を試してみましょう。

1.まずは、DATEDIFF 関数を利用して、日付の差分を取得してみます。[受注]テーブルには、「受注日」と「出荷日」があるので、この差を DATEDIFF 関数で計算列として作成して、出荷までの日数を調べてみます。

=DATEDIFF([受注日], [出荷日], DAY)

00184

DATEDIFF 関数では、「第2引数 - 1引数」を、第3引数で指定した期間(DAY なら日数)で差分を取得することができるので、これで「出荷日 - 受注日」を取得できます。

2.DAX 式を記述後は、列の名前を「出荷までの日数」に変更しておきます。

00185

なお、DATEDIFF 関数の第3引数で DAY を指定した日付の差分は、以前のバージョンの Analysis Services でも、次のように取得できました。

=[出荷日] - [受注日]

このように日付データに対して引き算を記述すれば、日数の差分を取得することは今までもできました。今回の DATEDIFF 関数がうれしいところは、DAY(日数の差分)だけでなく、次のように YEAR MONTHHOURMINUTE などの期間(どの期間の差分を取得したいのか)を指定できるようになった点です。

=DATEDIFF([受注日], [出荷日], MONTH)

3.次に、「出荷までの日数」の平均を取得するために、ツールバーの[Σ]メニューから[Average]をクリックして、メジャーを作成します。

00186

4.次に、新しい DAX 関数の 1つである「MEDIAN」を利用して、「出荷までの日数」の中央値を取得するメジャーを作成します。

中央値:=MEDIAN([出荷までの日数])

00187

MEDIAN の引数には、列を指定することで、その列の中央値を取得できます。

5.メジャーの作成後は、ツールバーの[Excel で分析]をクリックして、Excel で動作を確認します。

00188

6.Excel が起動したら、[出荷までの日数の平均]と[中央値]メジャーをチェックして、[Σ 値]に配置します。

00189

平均は 6.58・・・、中央値は 6 であることが分かります。

7.次に、前の Step で作成した「出荷日用」テーブルの「」と「」を、[]に配置して、出荷年月ごとに、出荷までの日数を分析してみます。

00190

なお、メジャーとして最大値MAX)や最小値MIN)を作成しておけば、次のように年月ごとに、出荷日数にどういった傾向があるのかを確認できるようになります。

00191

◆ CONCATENATEX で文字列の連結

次に、新しい DAX 関数の 1つである CONCATENATEX を利用して、文字列の連結を試してみましょう。これまでのバージョンの Analysis Services では、CONCATENATE という関数で文字列の連結ができましたが、これは主に計算列で利用するものでした。今回の CONCATENATEX は、メジャーでも利用することができる文字列連結関数です。

1.ここでは、[商品]テーブルの「商品名」列を連結したメジャーを作成してみましょう。次のように[商品]テーブルを開いて、メジャーを作成します。

商品名連結:=CONCATENATEX('商品', [商品名], ", ")

00192

CONCATENATEX では、第1引数にテーブル名、第2引数に列名、第3引数に文字列連結のための連結文字を指定します。今回は「", "」と指定することで、「商品1, 商品2, ・・・」のようにカンマ区切りで連結されるようにします。

2.メジャーの作成が完了したら、ツールバーの[Excel で分析]をクリックして、Excel で動作を確認します。

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3.Excel が起動したら、[商品名連結]メジャーをクリックして、[Σ 値]に配置します。

00194

商品テーブルのすべての商品名がカンマ区切りで連結されて表示されていることを確認できます。

4.次に、「商品区分」テーブルの「区分名」列を、[]に配置します。

00195

このように商品区分を配置すれば、商品区分ごとに商品名を一覧できるようになります。

5.CONCATENATEX では、第1引数に TOPN 関数を利用することで、商品売上の上位 N 件のみを対象にするといったこともできます。例えば、商品売上の上位 3件(トップ3)のみを対象にする場合は、次のように「TOPN(3, '商品', [受注金額計])」と指定します。

top3商品:=CONCATENATEXTOPN(3, '商品', [受注金額計]), '商品'[商品名], ", ", [受注金額計], DESC)

00196

DESC キーワードは、売上(受注金額計メジャー)の大きい順に、文字列連結を行うため(1位の商品が一番左に表示されるようにするため)に指定しています。

このようにメジャーを作成しておけば、次のように売上のトップ3の商品のみを表示できるようになるので、より実践的なレポートになります。

00197

なお、さらに実践的なレポートにするには、次のように売上トップ3 の金額や、その比率(全体合計に対する割合)を取得するのがお勧めです。

売上トップ金額取得
top3金額:=CALCULATE([受注金額計], TOPN(3, '商品', [受注金額計])
売上トップ金額割合全体合計対して何%
top3比率:=DIVIDE([top3金額], [受注金額計])

00198

00199

このように SQL Server 2016 の Analysis Services では、CONCATENATEX など、便利な関数が多数サポートされるようになったので、より実践的なレポートを簡単に作成できるようになりました。

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