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SQL Server 2012 自習書シリーズ (HTML 版)
新機能編 No.3「DWH(データ ウェアハウス)関連の新機能」

松本美穂と松本崇博が執筆した SQL Server 2012 自習書シリーズの「新機能編 No.3 DWH 関連の新機能」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2014年12月26日]

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5.1 SQL Server 2012 で提供される BI 新機能の概要

◆ SQL Server 2012 で提供される主な BI 新機能の概要

SQL Server 2012 には、非常に多くの BI(Business Intelligence)関連の新機能が提供されています。ここでは次の 4つに分けて概要を説明します。

  • Power View による容易なデータ分析レポートの作成
  • PowerPivot for Excel の進化(バージョン アップ)
  • Analysis Services でのテーブル モデル(Tabular Model)のサポート(xVelocity)
  • Reporting Services のデータ警告機能によるメール送信

◆ Power View による容易なデータ分析レポートの作成

SQL Server 2012 では、Power View と呼ばれる、新しいデータ分析/レポーティング ツールが提供されています。Power View を利用すると、従来のレポーティング ツールであるレポートビルダーや、高度なデータ分析が可能な PowerPivot for Excel ツールよりも、容易に見栄えの良いデータ分析レポートを作成することが可能です。

以下の画面は、Power View を利用してデータ分析レポートを作成しているときの様子です。

00179

このように、より使いやすいレポーティング ツールが登場したことで、エンドユーザーが自らレポートを作成する「セルフ サービス データ分析」がより実現しやすくなりました。

◆ PowerPivot for Excel の進化(バージョン アップ)

PowerPivot for Excel は、SQL Server 2008 R2 から提供されたデータ分析ツールですが、SQL Server 2012 の PowerPivot for Excel はバージョン アップして、多くの新機能が提供されました。その主なものは、以下のとおりです。

  • KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)への対応
  • 書式Format)設定の永続化により、書式がピボットテーブルへ反映可能に
  • 並べ替え列のサポートにより、別の列で並べ替えが可能に
  • ダイアグラム ビューによるグラフィカルなリレーションシップ管理のサポート
  • 階層のサポートにより、階層関係のあるフィールド(たとえば、大分類→中分類→小分類→商品のような関係)をワンクリックで配置可能に
  • フィールド一覧に表示されるフィールドの表示順序の変更が可能に
  • パースペクティブのサポートにより、不要な列/メジャーを簡単に非表示に可能
  • ドリルスルーのサポート
  • BLOB データ(varbinary(max))のサポート
  • DAX(Data Analysis Expressions)関数の大幅強化。PATH PATHITEM 関数によって親子階層への対応も可能

以下の画面は、ダイアグラム ビューでリレーションシップを設定しているときの様子です。

00180

以下の画面は、KPI をグラフィカルに設定しているときの様子です。

00181

このように PowerPivot for Excel はバージョン アップして、さらに本格的なデータ分析レポートが簡単に作成できるようになりました。

また、後述の Analysis Services テーブル モデル(Tabular Model)を利用した場合には、以下の機能も利用できるようになるので、ビッグデータ対応性能向上セキュリティの強化を実現することも可能になりました。

  • 大量データへの対応(ビッグデータ対応)
  • パーティショニング
  • ロールを利用した行レベル セキュリティ

◆ Analysis Services でのテーブル モデルのサポート(xVelocity インメモリ BI)

SQL Server 2008 R2 では、PowerPivot で採用されたインメモリのカラムベース エンジン「VertiPaq」で動作する Analysis Services は「PowerPivot for SharePoint」としてインストールした場合にのみ利用することができましたが、SQL Server 2012 からは、VertiPaq エンジンが進化して、「xVelocity」という名称へ変更され、単体でも動作させることができるようになりました。SQL Server 2012 では、インストール時に以下の画面のように「表形式モード」(Tabular Mode)を選択することで、単体の Analysis Services エンジンとして xVelocity モードで動作させることが可能です。

00182

また、SQL Server Data Tools(以前のバージョンの Business Intelligence Development Studio)では、新規プロジェクトの作成時に、次のように「Analysis Services 表形式プロジェクト」(Tabular Project)を選択することで、xVelocity モードの Analysis Services へ配置可能なデータベース(テーブル モデル)を作成できるようになりました。

00183

以下の画面は、テーブル モデル(表形式モデル:Tabular Model)のプロジェクトを作成しているときの様子です。

00184

テーブル モデルは、PowerPivot for Excel と同じような操作性で作成することができます。また、このモデルでは、「ロールを利用した行レベルのセキュリティ」や「パーティショニング」機能が利用できるので、セキュリティ強化ビッグデータへの対応性能向上を実現することも可能になりました。

◆ Reporting Services のデータ警告(Alert/通知)機能

SQL Server 2012 では、Reporting Services の新機能の 1つとして「データ警告」機能が提供されました。この機能を利用すれば、レポート内のデータを利用して、特定のルールに基づいて、メールを送信するといったことを簡単に行えるようになります。たとえば、「在庫<=発注点」というルールを設定して、在庫が発注点を下回ったら、メールを送信する、という設定の場合は、次のように設定します。

00185

00186

このように、データ警告を利用すれば、フィールド間あるいは特定の値に対してルールを設定することができ、その結果を定期的にメールとして通達することができるので、大変便利です。

◆ その他の BI/DWH 新機能

SQL Server 2012 には、まだまだ多くの BI/DWH 関連の新機能が提供されています。その主なものは、次のとおりです。

  • Reporting Services での Excel エクスポート時のフォーマットの変更(xlsx形式へ)
  • Integration Services 操作性向上CDC(変更データキャプチャ)のサポート、
  • MDS(マスター データ サービス)の Excel アドイン

15,000 パーティションのサポート

Apache Hadoop への対応(Hadoop Connector による連携など)

このように、SQL Server 2012 では多くの BI/DWH 関連の新機能が提供されています。これらのうち、BI 関連の注目の新機能(Power View やデータ警告、PowerPivot のバージョン アップ、テーブル モデルなど)については、ステップ バイ ステップ形式で説明した本自習書シリーズの新機能編「No.4 BI 新機能ダイジェスト」も用意しているので、こちらもぜひご覧いただければと思います。

◆ おわりに

最後までこの自習書を試された皆さま、いかがでしたでしょうか? SQL Server 2012 には、多くの DWH/BI 関連の新機能が提供されていることを確認していただけたのではないでしょうか。特に、列ストア インデックスは、大きな性能向上を実現することができ、さまざまな場面で活用できるものなので、ぜひ活用してみてください。

この自習書は、「DWH 関連の新機能」版ということで、DWH 関連の新機能に絞ったものでしたが、SQL Server 2012 ではどんな新機能が提供されているのか?ということを知りたい方は、本自習書シリーズの新機能編「No.1 新機能ダイジェスト」をぜひご覧いただければと思います。
http://www.microsoft.com/ja-jp/sqlserver/2012/technology/self-learning.aspx

また、オンライン ブック(SQL Server のヘルプ)にも詳細手順が記載されているので、こちらもご覧いただければと思います。
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms130214.aspx

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