SQL Server のことなら SQL Quality SQL Server パフォーマンス チューニング、コンサルティング、アドバイス、相談、定期診断、トレーニング

ホーム > 技術情報 > No.12 Analysis Services によるインメモリ BI 入門

SQL Server 2012 自習書シリーズ (HTML 版)
「No.12 Analysis Services によるインメモリ BI 入門」

松本美穂と松本崇博が執筆した完全オリジナル SQL Server 2012 自習書シリーズの「No.12 Analysis Services によるインメモリ BI 入門」の HTML 版です。 日本マイクロソフトさんの Web サイトで Word または PDF 形式でダウンロードできますが、今回、HTML 版として公開する許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。[2013年12月29日]

目次へ | 前のページへ | 次のページへ

3.4 DAX 式を利用したメジャーの作成(比率や前年金額などの計算)

◆ DAX 式を利用したメジャーの作成(比率や前年金額などの計算)

メジャーは、DAX(Data Analysis Expressions)式を利用して作成することもできます。これを利用すれば、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりして、構成比率や前年金額などを取得することができるようになります。

00136

それでは、これを試してみましょう。

1.DAX 式を利用したメジャーを作成するには、次のように任意の空のメジャー グリッド(メジャー領域内のセル)をクリックして、[fx](式)ボックスで任意の DAX 式を入力します。

00137

2.まずは、次のように単純な式を入力して、動作を確認してみましょう。

='受注明細'[受注金額計1000

00138

DAX 式では、テーブル名を '(単一引用符)で囲んで指定し、メジャーを [ ] で囲むことで、ほかのメジャーを参照することができます。上の式では、前の Step で作成した「受注金額計」(合計を取得するためのメジャー)を取得し、これに対して 1000 で割り算をしています。

式には、自動的に「メジャー 1:=」が追加されて、メジャーの名前が「メジャー 1」へ設定されています。この文字列を[fx](式)ボックスで変更すれば、メジャーの名前を変更することができます。

3.ツールバーの[Excel で分析]ボタンをクリックして、Excel のピボット テーブルを起動し、[Σ 値]へ「受注金額計」と「メジャー 1」を配置し、[行ラベル]へ「商品区分」テーブルの「区分名」を配置します。

00139

「メジャー 1」は、受注金額計に対して 1000 で割り算した結果になっていることを確認できます。このように、DAX 式を利用したメジャーを作成すると、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりできるようになります。

◆ 構成比率の追加

次に、各商品区分の構成比率(各商品の受注金額が全体の何%なのか)を計算してみましょう。

1.構成比率は、各商品区分の受注金額を「全体合計」で割り算すれば良いので、「メジャー 1」の式を次のように変更します。

='受注明細'[受注金額計] / CALCULATE('受注明細'[受注金額計], ALL('商品区分'[区分名]))

00140

CALCULATE という関数では、第2引数に「ALL('商品区分'[区分名])」と指定することで、全体合計(商品区分全部の合計)を計算することができます。

2.次に、式の「メジャー 1:=」を「構成比率:=」へ変更して、メジャーの名前を「構成比率」へ変更します。

00141

3.次に、作成した「構成比率」を選択して、[プロパティ]ウィンドウを開き、[形式]で[パーセンテージ]を選択します。

00142

これで、「構成比率」の書式をパーセンテージ形式(0.1234 というデータなら 12.34%形式)へ設定することができます。

4.次に、Excel 側へ戻って、ピボット テーブルを選択し、[オプション]タブの[更新]ボタンをクリックして、最新の情報に更新します。

00143

作成した「構成比率」メジャーを[Σ 値]へ配置すると、「構成比率」(各商品の受注金額が全体の何%なのか)が正しく計算できていることを確認できます。

◆ 前年金額の追加

次に、前年金額を計算してみましょう。

1.任意の空のメジャー グリッドをクリックして、[fx](式)ボックスへ次のように入力します。

CALCULATE('受注明細'[受注金額計], PREVIOUSYEAR('日付'[日付]))

00144

CALCULATE 関数では、第2引数に「PREVIOUSYEAR」関数を指定することで、前年のデータを取得することができます。

PREVIOUSYEAR」関数は、次のように「DATEADD」関数を利用しても同じ結果(1年前のデータ)を取得することができます。

CALCULATE('受注明細'[受注金額計], DATEADD('日付'[日付], -1YEAR))

2.次に、式の「メジャー 1:=」を「前年金額:=」へ変更して、メジャーの名前を「前年金額」へ変更します。

00145

3.次に、作成した「前年金額」を選択して、[プロパティ]ウィンドウを開き、[形式]で[通貨]を選択します。

00146

4.設定後、Excel 側へ戻って、ピボット テーブルを選択し、[オプション]タブの[更新]ボタンをクリックして、最新の情報に更新します。

5.次に、ピボット テーブルの[Σ 値]へ「受注金額計」と「前年金額」、[行ラベル]へ「区分名」、「列ラベル」へ「」を配置します。

00147

前年金額」が正しく計算できていることを確認できます。

このように、DAX(Data Analysis Expressions)式を利用することで、既存のメジャーをもとに計算を行ったり、関数処理を行ったりできるようになります。

目次へ | 前のページへ | 次のページへ

事例1

SQLQualityは執筆とセミナーを通じて技術の啓蒙やエンジニアの育成支援も行っています
最新刊
SQL Server 2016 の教科書
SQL Server 2016 の教科書(ソシム)

弊社オリジナル制作の
SQL Server 2016 自習書も
マイクロソフトのサイトで公開中!
ダウンロードはこちら
セミナー風景
セミナー風景

ロングセラー
ASP.NET でいってみよう  SQL Server 2000 でいってみよう
ASP.NET でいってみよう
第7刷 16,500 部発行
SQL Server 2000 でいってみよう
第12刷 28,500 部発行
SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要
SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要(Amazon Kindle 書籍)

弊社執筆の
SQL Server 2014 自習書
マイクロソフトのサイトで公開中
目次はこちら

弊社執筆の
SQL Server 2012 自習書
マイクロソフトのサイトで公開中
ダウンロードはこちら
松本美穂のコラム
(公開活動などのお知らせ)

第60回:SQL Server 2017 自習書 No.3「SQL Server 2017 Machine Learning Services」のご案内
第59回:SQL Server 2017 自習書 No.2「SQL Server 2017 on Linux」のご案内
第58回:SQL Server 2017 自習書 No.1「SQL Server 2017 新機能の概要」のご案内
第57回:SQL Server 2017 RC 版とこれまでのドキュメントのまとめ
第56回:「SQL Server 2016 への移行とアップグレードの実践」完成&公開!
第55回:書籍「SQL Server 2016の教科書 開発編」(ソシム)が発刊されました
第54回:「SQL Server 2016 プレビュー版 Reporting Services の新機能」自習書のお知らせ
第 53 回:SQL Server 2016 Reporting Services の新しくなったレポート マネージャーとモバイル レポート機能
第 52 回:SQL Server 2016 の自習書を作成しました!
第 51 回:PASS Summit と MVP Summit で進化を確信!
第 50 回:新しくなった Power BI(2.0)の自習書を作成しました!
第49 回:Excel 2016 の Power Query を使う
第 48 回:新しくなった Microsoft Power BI ! 無料版がある!!
第 47 回:「Microsoft Azure SQL Database 入門」 完成&公開!
第 46 回:Microsoft Power BI for Windows app からの Power BI サイト アクセス
第 45 回:Power Query で取得したデータを PowerPivot へ読み込む方法と PowerPivot for Excel 自習書のご紹介
第44回:「SQL Server 2014 への移行とアップグレードの実践」ドキュメントを作成しました
第43回:SQL Server 2014 インメモリ OLTP 機能の上級者向けドキュメントを作成しました
第42回:Power Query プレビュー版 と Power BI for Office 365 へのクエリ保存(共有クエリ)
第41回:「SQL Server 2014 CTP2 インメモリ OLTP 機能の概要」自習書のお知らせです
第40回: SQL Server 2012 自習書(HTML版)を掲載しました
第39回: Power BI for Office 365 プレビュー版は試されましたか?
第38回: SQL Server 2014 CTP2 の公開
第37回: SQL Server 2014 CTP1 の自習書をご覧ください
第36回: SQL Server 2014 CTP1 のクラスター化列ストア インデックスを試す
第35回: SQL Server 2014 CTP1 のインメモリ OLTP の基本操作を試す
第34回: GeoFlow for Excel 2013 のプレビュー版を試す
第33回: iPad と iPhone からの SQL Server 2012 Reporting Servicesのレポート閲覧
第32回: PASS Summit 2012 参加レポート
第31回: SQL Server 2012 Reporting Services 自習書のお知らせ
第30回: SQL Server 2012(RTM 版)の新機能 自習書をご覧ください
第29回: 書籍「SQL Server 2012の教科書 開発編」のお知らせ
第26回: SQL Server 2012 の Power View 機能のご紹介
第25回: SQL Server 2012 の Data Quality Services
第24回: SQL Server 2012 自習書のご案内と初セミナー報告
第23回: Denali CTP1 が公開されました
第22回 チューニングに王道あらず
第21回 Microsoft TechEd 2010 終了しました
第20回 Microsoft TechEd Japan 2010 今年も登壇します
第19回 SQL Server 2008 R2 RTM の 日本語版が公開されました
第18回 「SQL Azure 入門」自習書のご案内
第17回 SQL Server 2008 自習書の追加ドキュメントのお知らせ
第16回 SQL Server 2008 R2 自習書とプレビュー セミナーのお知らせ
第15回 SQL Server 2008 R2 Reporting Services と新刊のお知らせ
第14回 TechEd 2009 のご報告と SQL Server 2008 R2 について
第13回 SQL Server 2008 R2 の CTP 版が公開されました
第12回 MVP Summit 2009 in Seattle へ参加

技術コミュニティでも活動中